理事長所信
一般社団法人三木青年会議所 第58代理事長 田中 聖之
<はじめに> 戦後復興の時代、1959年2月に全国で155番目の青年会議所として、「次代 を担う青年として広く社会の見地に立って今後の産業経済文化発展に寄与する」との 思いの下、三木市において青年会議所運動が始まりました。以来青年会議所運動は、 56年間時代の変化と共に、柔軟に活動の手法を変えながら、組織としての本質は変 える事なく、その志を継承してまいりました。いつの時代も、常に我々三木青年会議 所が率先して、三木市における諸問題を調査・研究し、ひとづくり・まちづくりを通 じて三木市の発展に貢献してまいりました。先輩諸兄のこれまでの偉業を称えると共 に、連携を強めながらも、先輩諸兄から受け継いだ「修練・奉仕・友情」の3信条を 基本とする創始の精神を、三木市の発展のために、未来に引き継がなければなりませ ん。 戦後日本は、物質的な豊かさを求めて、高度経済成長を成し遂げ、世界第2位の経 済大国になりました。しかしバブルが崩壊し、長引く不況の中で、急速に進むグロー バル化の波は、企業をはじめ多くのひとを「合理的に物事を考え、スピードや効率を 最優先し、経済至上主義、実力主義の競争社会で打ち勝つ事が正しい」という価値観 を一般的にしました。それは「自由」と「権利」ばかりが強調して主張される事とな り、社会において様々な問題が生じてきました。 <日本人が本来持っている精神性と、感性とは> 先の未曾有の大震災において一寸の光が差したのは、世界から賞賛された日本人が もつ精神性でした。暗闇の中で秩序正しく並び救援物資を受け取っている被災者の方 々、物資を子どもや高齢者から先に渡すという、譲歩のリレー。自分よりも他を思い やる、利他の精神。人との繋がりを大切にして必ず立ち直る、強い民俗。大震災をき っかけに、それまでの日本人の考え方で果たして良かったのか、改めて見直され、少 しずつ変化の兆しが 見えてきたように感じます。 元来日本人は、「個」より「公」、「金」より「德」、「競争」より「和」を重ん じた精神性を受け継いでいます。歴史的にみても東洋文明、西欧文明の影響を受けな がらも、お互いの考えの良い部分を取り入れて独自の文化を育み、欧米列強からの独 立を保ち、戦後の急速な発展を遂げるなど、様々な国難を乗り越えてきました。こう した精神性は他国では 見受けられません。 また、自然に対する「畏敬の念」「おもいやりの心」「物を大切にする心」「感謝 する心」なども世界にも類を見ない、優れた感性です。だからこそ平時においても、 日本人の誇るべき精神性や感性をもう一度思い起こし、行動できるひとが地域に必要 なのです。そのようなひとが増えれば、明るい豊かな社会にもっと近づけるはずです。 <地域に必要とされる青年会議所を目指して> 青年会議所が他の団体と大きく異なるところの一つに、3信条を基調とした、ひと づくり団体であるという事です。青年会議所が目指すまちづくりとは、決して直接的 な奉仕活動をする事だけでなく、まちづくりが出来るリーダーを育成する事が、もっ とも地域において青年会議所運動を波及し、地域が発展する効果的な方法であると考 えます。 まちづくりが出来るリーダーとはどのようなひとなのでしょうか。まちづくりにお ける専門的知識だけでなく、常に社会のあるべき姿を考え、それを踏まえて今何をす るべきかを判断し、実践できることが必要です。叡智を集約して作成したビジョンに 向けて、自ら輝きを放ち、ひとをまとめ、リーダーシップを発揮出来る、人間力を持 ったひとがこの 地域に必要なのです。 「役職がひとを成長させる」とよく言われますが、役職に相応しい立居振る舞い、 言動、そして自分を律しながらその役割を演じる、与えられた義務を果たそうとする ことで、ひとは成長するのだと考えます。青年会議所は求めれば様々な機会が提供さ れ、役割や立場を経験できます。考え方が異なる個人を、長所を活かしながら、組織 としていかに ベクトルを合わせていくのか、企業においても必要とされる要素です。 歴史上の人物や机上のリーダー像ではなく、多くの今を生きる、情熱を持ったリーダ ー達を手本として、お互いを刺激し合って、切磋琢磨していきましょう。 <真の友情を育む> 学校での勉強には答えが一つだけでしたが、社会や青年会議所活動においては、答 えは複数存在します。会議で自分の考えを披露して、決して他人に自分の個人的な価 値観を押し付けず、相手を敬う気持ちを持って、全員が参加して議論を尽くしましょ う。誰もが自説をぶつけ合い、議論を深化する中で、多くの気づきが得られます。 また我々の活動には、会議だけでなく、交流をする機会がたくさんありますが、単 に会場の設営をするだけではなく、メンバーの交流が促進する仕掛けが必要です。参 加者の立場に立って考え、相手の期待を上回る設えをすることで、楽しく、充実した 熱い交流が 出来るのです。 そのように仲間たちと熱い議論を交わし、同じ場所と時間を過ごし、同じ釜の飯を 食べ、苦楽を共にして青年会議所活動をすることで、本当の意味での絆が育めるので す。 <まちづくりを担う人材の拡大> 青年会議所は多くの若者をメンバーに迎え、多くのまちづくりの担い手を作らなけ ればなりません。若者が多くの学びを得、地域に貢献出来るひとを増やすことは、明 るい豊かな社会に近づくための最も有効な手段です。人材が増えていくことによって、 事業の原動力となり、市民の皆様から賛同を得ることで、青年会議所運動が大きな運 動となり、それが地域に浸透することで習慣にまでしていくべきです。まさに、我々 の運動に賛同者を増やすこと、また賛同し共に活動する同志を増やすことは、青年会 議所運動そのものだと考えます。 青年会議所はどんなにLOMに貢献したメンバーであっても、40歳で卒業という 仕組みがあります。それは、組織として新陳代謝を図り、常に若い力が漲る運動を地 域に展開するためです。そのため、常に新入会員を求め続けなければならない運命に あります。地元三木市において、青年会議所の火を消してしまってはなりません。必 ず次の世代へ 私たちの運動を継承しなければなりません。 しかし、ただやみくもに行動するのではなく、メンバー全員を巻き込み、最後のゴ ールまで高い意識を持ち続けられる仕組みを整え、あらゆる媒体や手法を検討して青 年会議所の魅力を定期的に伝える必要があります。また、情報交換を密にとって、常 に軌道修正をしながら、最善の方法を模索し常に戦略的に行動していきましょう。 <三木の宝を育成する> 「教育は国家百年の計」とはよく言われますが、近代日本の教育政策は、100年 も持ちこたえることが出来ずに、変更されているのではないでしょうか。ゆとり教育 で総合学習が注目されたかと思うと、学力低下でゆとり教育の見直しをしようと意見 が出たり、詰め込み教育は悪だとか、偏差値教育で良いのかなどと批判がでたり、次 から次へと変化が起きます。社会が大きく変動し、その方向性が大きく転換するとき には、常に教育に手を加えることを行ってきました。 昨今の「話せばわかる」という対話重視の姿勢。「体罰は絶対にあってはならない 」という平和的な教育観。「誰とでも仲良くしよう」という開放的な人間観。いずれ も聞こえが良い言葉で、理想として素晴らしいと思います。しかし果たしてそれだけ で良いので しょうか。それは社会を片側からしか子どもに見せていないと感じます。 社会に出れば、非常識な要求を突き付けるひとがいたり、善意で行動しているひとを 誹謗中傷するひとがいたり、理不尽な事柄があるのも現実です。社会に一歩踏み出し たら、そういう世間の荒波が待っていることを、小さいころからしっかりと教える必 要があると感じます。 そして何より、そんな社会を生き抜くために、小さなころに心を揺さぶる経験を通 して、大きな目標を持って前向きに、自分の力で壁を乗り越えていく、たくましさが 必要なのです。また、一人では超えられない大きな壁には、ひとと共にコミュニケー ションをとりながら、励まし合い、お互い助け合って、乗り越えていく経験が必要な のです。 三木市の将来を担う子どもたちが、夢や希望を心に、たとえ厳しい社会であっても 自立・自活して、ひとと共に生きることが出来る、たくましい大人になれるよう、我 々大人が 導いてまいります。 <地域に貢献ができる青年経済人の育成> 「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」これは戦後日本に、青年会議所運動 が興った時の創始の精神です。戦後の焼け野原から、世界に冠たる繁栄を日本にもた らしたのは、間違いなく青年経済人たちでした。経済の発展なくして、日本の平和や 教育の充実、文化の成熟、文明の発展はありえませんでした。これからも日本の、三 木市の正しい経済の発展を遂げ、明るい豊かな社会を築いていかなければなりません。 そして自らの企業は経営品質が高く、社員・顧客・地域に必要とされる企業を目指さ なければなりません。 そのためにはまず、青年経済人である我々が学んで、情報収集を行い、確かな見識 を養いましょう。そして時代の先を見据えて目標を定め、諦めない強い意志と、原理 原則に従って実践ができる力を養いましょう。 そうすることで、自らの企業を発展させて、地域に貢献できる青年経済人となり、 三木市の発展に繋がっていくはずです。 <おわりに> 「至誠にして動かざる者は、未だ之れあらざるなり。誠ならずして未だ能(よ)く 動かす者はあらざるなり」これは、もともとは孟子の言葉で、吉田松陰が引用した有 名な言葉です。「誠意を尽くして事にあたれば、どのようなものでも必ず動かすこと ができる。逆に不誠実な態度で事にあたれば、何ものも動かすことは決してできない 」という意味です。 その時その時に与えられた仕事に、真心を込めて、一所懸命に本気で取り組みまし ょう。仕事に真剣に取り組む態度や心構えが、そのひとの人格を形成することとなり、 必ず周囲からの信用を得ることとなるでしょう。そして、「あなたがそう言うのなら、 賛同しましょう。」と言ってもらえることが、青年会議所運動を広められる最大の方 法だと感じます。 全ては次代を担う子どもたちのために、明るい豊かな社会の実現のために。 <基本方針> ・ 運動をひろめる為の同志の拡大 ・ 次代を担う、「地域の宝」の育成 ・ 地域に貢献ができる青年経済人の育成 ・ 研鑽し、高めあえる会員間の交流